未再現:NDF "No Defect Found"

社内のメールで来た「未再現打合せ」という字面が、そこはかとなく可笑しい。

「未再現障害撲滅に向けた打合せ」の略なのだが、日常用語としては
「未再現障害」という単語が、既に違和感がある。
これはITシステム用語だからである。

「未再現」なものは「撲滅」しなくても「再現」しないのでは?
と言いたくもなるが、ここの「未再現」は
「状況調査のために、障害現象を再現しようと試みたが、出来なかった」
という意味である。

同じ障害が再び起きた時は「再発」という。
「同じ障害は二度と起きてはならない」的な生真面目な人もいるので、
「再発防止策」とか「是正措置」とか書かされることになる。

そういう場で使われる「シミュレーション」は「再現試験」であって「予測」ではない。
似たような状況になった時、その後、起こる確率の高い現象を「再現」して見せているだけである。

だから「不測の事態に備えて」とか「万難を排して」「万全を期して」
と大真面目に言ってる人を見ると笑いそうになる。
もしも、直属の上司なら、甚だ迷惑だが
「なにがあっても、なんとかするよう、がんばろう」という人の方が現実的かもしれない。

「故障だ」と思って相談したら「異常は見つかりませんでした」と、つれない報告が来て
此岸と彼岸の間に三途の川ではない、深くて暗い川が流れるのだ。