テレコ

仕事で試作品の回路の配線が左右逆に設計されていて繋いだモジュールが動かないことがあった。
「ピン配がテレコになってる」のである。

これが、たまに通じない人がいる。特に若い人。そんな言い方をしたら自分が年寄りのようではないか。

なお「ピン配」というのは「ピン配列」の「列」だけ省略した業界用語か。職場の隠語である。

さて、「テレコ」
「互い違い」の意味で、関西弁起源説とか歌舞伎などの芸能の楽屋言葉説などがある。

20世紀の若者なら、「テープレコーダーの略でカセットのA面とB面を逆にしたからだ」と誤解するかもしれないが、テープレコーダーが死滅しかかっている21世紀である。CDが普及し始めた頃、「両A面」という売り出し方があったのが懐かしい。

たまに「入れ子」と間違う人もいる。「れこ」が同じなだけで、まったく違う。入れ子はマトリョーショカだ。マトリョーショカというのはロシアのこけしのことだ。

テープレコーダーで思い出した。いまや「ビデオ」という単語は「録画」の意味になっていて、ビデオテープなど知らん人もいるかもしれない。
今でもその世代の人は「巻き戻し」というが、たぶん、今なら「早戻し」であろう。

昭和40年代の人ならテレビのチャンネルを変えるのを「チャンネルを回す」と言っていたのがリモコンに駆逐されたようなものだ。

留守番電話用にマイクロカセットをセットする電話機なんて…

♪ダイヤル…回して…手を止めた~♪I'm just a woman, ah-a falling love♪」1985(昭和60)年『恋におちて』小林明子

ポケベルが鳴らなくて…恋が待ちぼうけしてる♪ 1993(平成5)年『ポケベルが鳴らなくて』国武真理

♪七回目のベルで受話器を取った君♪1998(平成10)年『Automatic』宇多田ヒカル

まぁ、それはさておき、「テレコ」ってなんか字面だけで、入れ替わってる気がしない?

プリンターとかFAXの紙詰まりを「ジャムる」って、最近は言わないですか?「パンにジャムを塗る」でも、音楽のジャムセッションでもないです。

それでも、今どき「ピーピー」としか言わない電子レンジを使うことを「チンする」と老若男女言うのだ。