第四幕 ガリガリ君

次なる調査対象はガリガリ君である。「君」 がつくと擬人化されてますます重要参考人っぽい。


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商品名が「ガリガリ君」になったのは、かき氷ベースのスティック氷菓を開発するにあたり、食べる時の擬音から「ガリガリ」にしようとしたが、なんか物足りないなぁと思っていたところに、現社長が「じゃあ、君をつけよう」と言ったかららしい。当時のガリガリ君のイラストも開発チームで絵が描ける人が作ったという。

 

特に調査結果は持ち合わせていないが、小中学生に好きなアイスを聞くと、男子女子ともにガリガリ君が一位だそうだ。

年間に4億本売れているらしいので、単純計算だと、 国民一人が年間に4本くらい食べていることになる。私は今年まだ1本しか食べていない。

 

ガリガリ君の基本はソーダ味である。他の味は、その時々に市場調査や売れ行きで入れ替わり立ち代わりする。昔ながらの野球ファンの旧い言い方で云う不動の四番、 サッカーファンなら、点取り屋とかエースストライカーとかファンタジスタと言うところであろうか?

そういや、日本代表コラボで、「ガリガリ君ソーダ味 SAMURAI BLUE」が限定発売されたこともあったな。 パッケージがコラボしているだけで、中身はいつものソーダ味。 色がサムライブルーな訳でもない。というか、そもそも、 サムライブルーもなんでその色になったのか経緯が今となっては詳細不明だと聞く。

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いや、ここで問題なのは、何故にソーダ味の色としてあの、 淡い水色が採用されたのか?ということである。

この話題で何度か言及している通り、そもそものソーダの意味のナトリウム化合物のうち、 ソーダと呼称されていた炭酸ナトリウムは白い粉末だし、ソーダは炭酸水を意味するとしても、 炭酸水は無色透明の液体だからである。

 

ガリガリ君の誕生秘話について、ガリガリ君プロダクション( 製造元の赤城乳業のグループ会社でガリガリ君のキャラクタービジネスを担当している)のプロデューサーの講演録が、 起業教育研究会というサイトに載っている。

それによると、

このときのアイデアですごいのが、 ソーダに水色をつけたのはガリガリ君が初めてと言われています。 それはなぜかというと、もともとガリガリ君は子供たちが外で遊びながら食べてほしいという思いで、「空」「 海」あと「川」の水に共通する水色でソーダに水色をつけました。 今はこのアイスブルーが ファッション業界や車等、いろいろなところにあり、 ガリガリ君のブルーが ファッション業界ではアイスブルーと呼ばれています。 そういった中で色に よって売上も非常に伸びてきているように思います。

いや… アイスブルー云々については少々手前味噌な自画自賛な気がしないではないが、「空・海・川」 からガリガリブルーが決まったようだ。 つまりソーダの色ではないのだ。

 

原材料として公けになっているのは

ぶどう糖、果糖、液糖、砂糖、りんご果汁、ぶどう糖、ライム果汁、 水飴、リキュール、食塩、香料、安定剤(ペクチン)、着色料( スピルリナ青、紅花黄)、酸味料

ぶどう糖は甘味料で、葡萄の味がするわけではない。果汁成分としてはリンゴとライムが入っている。

ラムネの由来のレモン味でなく、リンゴベースということはシードル… サイダーと呼ぶのが近いかもしれない。なお、その辺のこだわりは、今やほとんど意味はなく、ラムネとサイダーの差は容器の違いであることは既に述べた

ちなみに、スピルリナというのは、 青系の菓子によく使われている天然由来の着色料である。 昔は青色一号という合成着色料だったのだが、 昨今は人体への影響を心配する声もありスピルリナがよく使われているようだ。ミントアイスがなんでか淡い青緑なのもこいつの仕業だ。

 

つまり、

赤城乳業自画自賛の通り、 はじめてソーダ味に水色を付けたのがガリガリ君であり、

また、事実上、ソーダ味と言えば、日本国民のほとんどがガリガリ君を想起するとしたら、

ソーダ色のソーダ味はガリガリ君の仕業である可能性が極めて高いが、 本人に悪意はないため、未必の故意と言えるかもしれない。いや、ソーダとは関係ない色と味で多額の売上を達成しているのであるが、詐欺事件として立件するのは困難である。

 

P.S.

水色のソーダアイスキャンディーを出している他のメーカーにもコメント貰った「冷たさや清涼感、すっきり感をお客様に想像していただけるような色にさせていただきました。」